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COLUMN実績班長のコラム

2023.04.04

製品検査とは?製造業における検査工程のメリットや注意点、自動化のコツ

製品検査は、高品質な製品を安定的に顧客のもとに届け、自社の信用を維持するために欠かせないプロセスです。「製品検査を効率良くするためにはどうすればいいか」と悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。

今回は、製品検査のメリットや注意点、自動化のコツなどについて解説します。自社の製造工程に合った適切な製品検査の導入方法が分かるでしょう。

製造業の製品検査とは

製造業では、完成した製品を検査せずに出荷してしまうと、不良品が発生した場合に顧客や取引先からの信頼を失ってしまう恐れがあります。こうした事態を防ぐために欠かせない業務が、製品検査です。

製品は、いくつかの検査工程によって品質がチェックされ、基準を満たしていると認定されてようやく完成といえる状態になります。原材料を加工したり、部品を組み立てたりして形ができたとしても、製品検査をクリアしていなければ完成とはいえません。

製品検査では、形状や構造、寸法、色などあらゆる項目において合格基準を設定。製品や部品の特徴に応じて、傷や汚れ、凹凸といった発生し得る異変についても想定し、これらの基準と照らし合わせて適合品・不適合品を判断します。

品質保証との違い

製品検査を行うことは製品の品質管理や品質保証につながりますが、「製品検査」と「品質保証」はまったく同じではありません。混同されやすい製品検査と品質保証について、両者の違いを解説します。

製品検査はあくまで「不備・不良がないか」をチェックする作業で、製品検査を続けたからといって品質が保証されるわけでも、品質が向上するわけでもありません。「どのような不備があったのか」を設計や製造などの上流工程にフィードバックし、各現場で改善に向けて取り組むことで初めて品質の向上が実現します。

たとえば、特定の部位に似たような擦れが頻繁に発生している場合、製造工程に何らかの問題があるかもしれません。また、プラスチック製品に特定のウェルドラインが入ってしまう場合は、製品設計に問題があることも考えられます。

このように、製品検査で見られた傾向を上流工程に伝えて原因を追究し、解決策を講じることで品質の保証につながるのです。製品の品質を高めて顧客満足につなげるためには、製品検査と品質保証の関係を正しく理解し、日々のサイクルを回していくことが大切です。

製品検査の仕事内容

製品検査の方法にはいくつかの種類があります。代表的な検査と仕事内容を以下で紹介します。

検査方法 概要 仕事内容
目視検査 製品を目で見て基準に満たないものを取り除いていく
  • ベルトコンベアで運ばれる製品すべてに目を通し、不良品がないかチェックする
  • 集中力を必要とする検査
外観検査 主に食品や部品などをつくる過程で外観をチェックする
  • 製品に傷や変色などがないかチェックする
  • 目視検査と同時に行われる場合もある
モニターチェック モニター画面で作業の状況や機械の動作状況を確認する
  • 製品が完成する前の段階で問題点を見つけ、不良の発生率を下げる
  • 効率良く製造を進めるための検査
分析補助 主に化粧品や医薬品の製造過程で研究開発をサポートする
  • 製品の成分を分析したり、データをまとめたりする
  • 研究者をサポートするための作業
測定器検査 測定器を用いて特殊な製品や細かい製品を検査する
  • 「機械検査技能士」の資格が必要な検査
  • 資格取得には実務経験とスキルアップが求められる

製品検査のメリット

製品検査を行うことで、以下のようなメリットを期待できます。

  • 品質の維持・改善
  • 不良品の削減
  • 信用関係の構築

品質の維持・改善

製品検査により安定した品質を維持できるようになり、不良が起きた原因も特定しやすくなります。「どの部分でどのような不良が起きているのか」を分析し、原因を特定できれば、設備の改良や人材育成といった対策を講じられるでしょう。

品質の改善につながれば、厳しい競争環境を生き抜くために自社の強みとなるかもしれません。

不良品の削減

製品検査を行い、製造段階で起こる不良を見つけ出せれば、不良品を出荷してしまう事態を防ぐことができます。

もし製品検査がきちんと機能せず、不良品であるにもかかわらず出荷したり顧客に納品したりしてしまえば、不良品の回収や廃棄、再生産などの対応が必要です。これらの対応には一定のコストがかかり、自社の手間や負担も発生するため、業務効率を大きく下げる原因となるでしょう。

製品検査をしっかり行い、あらかじめ不良品を取り除いておくことで、余計なコストを削減し、業務効率を上げられるメリットもあるのです。

信用関係の構築

製造業においては、顧客が求める質の高い製品・部品を、決められた納期で安定的に納品することが求められ、それがメーカーの信用につながっています。

もし不良品を出荷してしまえば、次工程でトラブルにつながる恐れも。万が一、エンドユーザーのもとに届いてしまえば、メーカーや販売業者の信用を大きく損なうことにもなります。

製品検査で不良品の出荷を防ぐことでこうした事態を避けられ、取引先や顧客との信用関係を構築できる点がメリットだといえるでしょう。

製品検査の注意点

さまざまなメリットのある製品検査ですが、いくつか注意点も存在します。

  • 管理コストの増大
  • 製造時間の増大
  • ヒューマンエラーの発生

管理コストの増大

製造工程に製品検査を組み込むためには、その都度検査を行う人員を割かなければならず、人件費がかかります。また、モニターや機器を使用した検査であれば一定のメンテナンスコストもかかってくるでしょう。

製品検査の導入により、こうした管理コストが増大する点は把握しておく必要があります。

製造時間の増大

一人当たりの検査工程を増やした場合、一つひとつの検査に時間がかかってしまいます。その結果、検査作業員は製造工程に手が回らなくなるかもしれません。

人手が豊富であれば問題ないものの、人手不足が深刻化している製造業においては、1人が製造業務と製品検査を並行して行うケースも多くあります。

そのため、製造時間の増大、業務効率の低下につながってしまうのです。

ヒューマンエラーの発生

製品検査では、目視検査のように人の判断に頼る検査も少なくありません。たとえ明確な検査基準が設けられていたとしても、人によって判断が微妙に異なるケースもあります。

また同じ人が検査を行う場合であっても、疲労や体調に左右されて判断がブレる可能性もあり、一定の品質を保つことが難しいという問題点があります。

人が行う作業である以上、不良品を見落としてしまうケースもあり、ヒューマンエラーの発生が避けられない点にも注意しなければなりません。

品質検査を自動化する方法

ヒューマンエラーによる不良品出荷の懸念が拭いきれない製品検査において、検査精度を高める方法として注目されているのが「自動化」です。

品質検査の自動化はこれまでにもニーズがあり、「サイズや温度、加圧などのセンサーを用いて、しきい値の範囲内にあるかどうかを検知する」というシステムは以前より活用されていました。しかし、センサーでは検知できないレベルの小さな傷や汚れの発見は人の目に頼るしかなく、完全な自動化は実現できない点が課題だったのです。

しかし技術の進歩にともない高性能カメラやAI機能が登場し、製品検査の完全自動化を可能にするシステムも増えてきています。高度な学習機能が搭載されたAIは、大量の良品・不良品データを読み取り、判定基準を自ら学習します。そこに画像認識技術を合わせることで、人が行うよりも精度の高い検査が可能となりました。

こうしたシステムを活用すれば、不良品データを詳しく分析し、リアルタイムで明確なフィードバックを返せるため、品質向上に向けてすぐに改善できます。

自動化をすると顧客満足度向上につながる検査を効率良く行えますが、システムが正常に作動しているかなどは人が確認する必要もあり、目視との併用を図る必要がある点には注意しましょう。

製造業の効率化を実現するシステム「実績班長」

製造業の効率化を実現するためには、製造業のさまざまな課題を解決できる「実績班長」の導入がおすすめです。

「実績班長」は、製造業の現場に特化した製造実行システムで、あらゆる情報を収集する機能が豊富に備わっています。進捗管理や品質管理、労務管理や在庫管理などさまざまな機能があり、解決したい課題や目標などに合わせて必要なシステムだけをピックアップできるため、低コストでの導入が可能です。ERPと連携できる点もコスト削減につながり、浮いたコストで製品検査を自動化するための設備投資なども可能になるでしょう。

実績班長を導入すると、製品検査における以下の課題を解決できます。

  • 検査結果がすぐに分からず不良を作り続ける
    製造の現場では、「検査結果がリアルタイムに把握できないため、対処されるまでに時間がかかり不良を作り続けてしまう」という問題がしばしばあります。
    実績班長は検査結果をその場でデータ化し、ネットワークでつながっている誰もが参照できるため、製造現場と品質保証をスムーズに連携できます。
  • 検査記録が紙になっており過去調査に時間がかかる
    検査結果が紙ベースで記録されているため、顧客からのクレームで当時の状況を把握したい場合に「莫大な紙の中から探すことになってしまう」「文字がかすれて読み取れず正確な状況が分からない」という問題点もあります。
    実績班長ならデータに保存期間はなく、過去データをすばやく抽出できます。さらにBIツールと連携することで、検査結果データを多様な切り口から調査分析することが可能です。
  • 誰にどのような不良が多いか分からない
    不良の発生率や数は分かっても、作業員ごとにどのような傾向があるのか把握しにくいもの。作業時間と製造品質で客観的にスキル判定をするためには実績班長が有効です。
    実績班長では、作業員・班単位で不良要因・実績を登録できます。不良要因は現場ごとに、自由なマスタに設定できるため、各工程でリアルタイムに不良要因を把握することができるでしょう。

導入事例:気高電機株式会社

実際に「実績班長」を導入することで不良品の削減に成功した事例を紹介します。

業種 電機、機械製造
サービス内容 家電製品の「開発から完成品までの一貫したものづくり」
【導入前の課題】
  • 1からの構築ではなく、システムのプラットフォームに装置を連動させて使用できるシステムを検討すること
  • IoTを活用して全成型機、周辺設備を接続して成形条件と品質データの視える化を行うこと
【導入後の効果】
  • 生産進捗の見える化による稼働率の向上
  • データ分析による不良出現傾向の事前検知

実績班長の導入により生産進捗の見える化が実現し、次工程の生産準備が間に合わないことで発生していた不稼働ロスが減少。段取り準備の最適化により休止時間の短縮、稼働率向上にもつながっています。

同社では、これまで「不良品が完成してしまってから設備の不備が発覚する」ということが多かったものの、温度データなどをきちんと取ったことで、金型の冷却不全の傾向が見え、不良品が発生するラインが明確になり、不良の発生を防げるようになりました。

つまり、実績班長の導入で無駄をなくし、ミスを事前検知することで、イレギュラーに発生し得る不良を未然に防げるようなった好例です。

まとめ

今回は製造業における製品検査について、メリットや注意点をはじめ、検査工程や自動化のポイントなどを解説しました。製品検査は、質の高い製品を製造し、顧客や取引先との信頼関係を維持するためにも重要です。

製造業の効率化を実現する「実績班長」を導入すれば、生産進捗が見える化されることで稼働効率が向上する、データ分析によりミスを事前検知することで不良の発生を防げるといった効果を期待できるでしょう。

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