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COLUMN実績班長のコラム

2023.10.31

ISO9001規格とは?認証審査の手順や審査通過のポイントをわかりやすく解説します!

製品の販売や製造に携わる企業の方であれば「ISO9001」という規格に聞き覚えがあるかと思います。ISO9001は品質マネジメントシステムの国際規格であり、取得を検討する企業も多いのではと推測されます。

本記事では、ISO9001の取得方法やメリット・デメリットについて簡単に解説しています。ISO9001について概要を知りたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

そもそもISOとは何か

「ISO」とは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)の機関名の通称です。また、ISOが発行する規格を指して「ISO」とするケースもまれにあります。

ISOは、スイス・ジュネーブに本部を置く非政府機関です。日本だけではなく、グローバルに通用する国際的な基準・規格を作成しています。

ISOは、世界各国にある162の団体で構成されます。世界で使われる標準化を推進しており、電気・電子及び電気通信以外のあらゆる分野において、国際規格の作成を行なう機関です。

ISOで定められる国際標準(国際規格)では、さまざまな製品の性能・サイズ・品質などが定められています。国際標準を満たすことで品質保証となり、国際取引も円滑にできるメリットがあります。

ISOが定めるISO規格の種類

ISOの定める国際規格は、ISO規格と呼ばれます。ISO規格の対象は、大きく分けると「製品(モノ)」「マネジメントシステム」の2種類です。

ISO規格は、2022年12月現在で24,610規格あります。ISO1からISO50000シリーズまであり、工業製品や農業、医療、食品などあらゆる分野を網羅しています。

■ISO規格の例
モノ規格 ISO68 ねじ
ISO7010 非常口マーク
ISO5800 フィルムの感度
マネジメントシステム規格 ISO9001 品質マネジメントシステム
ISO14001 環境マネジメントシステム
ISO27001 情報セキュリティマネジメント

モノ規格では、製品の使用や品質が細かく設定されています。これによって、同じ規格の製品を選ぶことで世界各国のどこでも同じ使用・品質の製品を手に入れられます。

製造業においても、ISO規格に適合していれば世界各国で使用できるため、販路を広げることが可能です。

マネジメントシステム規格は「仕組み」を対象とした規格であり、企業・事業所・部門単位で取得できます。ISO規格を取得した部門は、世界基準で通用するマネジメントができているという証明になります。

ISO9001とは

ISO9001はマネジメントシステム規格の一つで、品質マネジメントシステム(QMS)に関する規格です。

ISO9001規格取得により、提供する製品・サービスの品質を維持・向上するため、管理・改善の仕組みの整備がされていると認められます。

ISO9001の認証を受けるには、次の2点を実現するための品質マネジメントシステムの構築が求められます。

  • 一貫した製品・サービスの提供
  • 顧客満足の向上

上記を達成するためには、品質・値段・納期がバランスよく満たされていることが求められます。

ISO9001認証を取得するメリット

ISO9001認証を取得するメリットについては、次のとおりです。

【ISO9001取得のメリット】
  • 顧客からの信頼を得られ、円滑な取引が可能となる
  • 企業のブランディングに寄与し、ビジネスの拡大が図れる
  • 企業内で経営理念やビジョンの浸透が図れる
  • 作業手順が明確になり効率化が進む
  • 個人の技能を共有化し、組織の力へ転換できる など

ISO9001の具体的な狙いは、品質管理による不具合発生の削減です。ISO9001への取り組みで品質管理体制を適正化し、品質リスクを軽減する効果が期待できます。

ISO9001認証を取得するデメリット

ISO9001認証を取得することはメリットもありますが、デメリット面も存在します。

【ISO9001取得のデメリット】
  • 取得・維持に手間とコストがかかる
  • 取得してもすぐに効果が出るわけではない
  • 従業員の負担が増える
  • 認証が失効した場合、企業イメージが悪くなる など

ISO9001取得にはシステム構築が不可欠であり、当然コストもかかります。認証取得のメリットを感じる前に従業員の負担が増え、不満が出る可能性も否めません。

ISO9001取得に関しては、メリットとデメリットのバランスを考慮して判断することが求められるでしょう。

ISO9001認証の取得方法

ISO9001認証は、下記の手順で取得します。

【ISO9001認証取得手順】
  1. 組織の評価と意思決定
  2. プロジェクトチームの結成とリーダーの指名
  3. ISO9001の要求項目に基づいてルールを構築する
  4. ルールに則った運用をする
  5. 内部監査を行いルール通りに運用できているか確認する
  6. 審査機関へ申請&審査を受ける
  7. 合格すればISO9001認証を取得

ISO9001には、PDCAサイクルの中で継続的な改善ができるよう、10項目の要求事項(次項で説明します)が定められています。

PDCAとは、Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)のプロセスを循環させ、マネジメントの品質を高める考え方です。

ISO9001はPDCAサイクルが基礎となっており、規格を意識しながら運用を行なっていけば、自然とPDCAサイクルが回るように構成されています。

ISO9001認証を取得した後は、認証要求事項に従った品質管理の運用が維持されているか、毎年審査を受ける必要があります(サーベイランス審査)。また、3年ごとに過去3年分の運用状況を確認する「更新審査」を受けることも必要です。

ISO 9001認証の要求事項の内容

ISO9001では、次の要求事項に基づいたルールがあるか、きちんとルールに基づいた運用ができているかどうか審査を受けたのち、認証の取得となります。

それぞれの概要は、次表のとおりです。

ISO9001の要求事項 概要
序文 ISO9001の概要説明
1項:適用範囲 適用範囲の説明
2項:引用規格 引用規格の説明
3項:用語および定義 用語および定義の説明
4項:組織の状況 ISO 9001の全体的な方向付け。組織およびその状況の理解、利害関係者のニーズ把握、適用範囲の設定、実行体制の確立など。
5項:リーダーシップ トップが責任を持って取り組むことを求める。
6項:計画 品質マネジメントシステム(QMS)のPDCAサイクルを計画する。全体で見たPDCAの「P」の部分。
7項:支援 QMSを運用するための資源を明確にし、規格が求める内容に対応する資源を決定、内部・外部から調達して活用する。
8項:運用 目的達成のための計画をQMSへ落とし込み、実際に運用する。PDCAの「D」に該当する。
9項:パフォーマンス評価 QMSのパフォーマンスと有効性を評価する。PDCAでは「C」の部分となる。
10項:改善 QMSの効果的な運用のための改善・アップデート。PDCAの「A」にあたる。

序文から3項までは説明、4項以降が要求事項の具体的な取り組み内容となります。これらの要求事項を組織活動に取り入れて継続できる仕組みを構築することで、ISO9001認証が取得できます。

要求事項の構築が社内だけでは難しい場合、外部コンサルタントに依頼してアドバイスを受けながら進めることも可能です。

ISO 9001認証の取得にかかる期間と費用

ISO9001認証を取得したいと考えても、すぐには取得できません。準備期間やシステム構築、運用と審査を合わせるとおおよそ1年から1年半、どれだけ短くても半年程度は必要です。早めに取得したい場合は、専門のコンサルタントに依頼すると効率よく進められるでしょう。

取得にかかる費用は、業種や会社の規模・拠点数、さらにはISOの審査機関によっても金額が異なります。また、審査費用以外にもシステム構築にかかるコストや、外部コンサルタントへの依頼費用が別途必要です。

審査費用のおおよその目安としては、従業員が20名以下の企業で30万~50万円程度、50~100名程度で60万~80万程度となっています。また、認証取得後のサーベイランス審査・更新審査にも費用がかかります。

ISO9001認証審査に合格するためのポイント

ISO9001認証審査に合格するためのポイントが、内部監査です。内部監査は自社の従業員かその代理人が担うことから、評価基準が甘くならないような客観的視点が求められます。

人内部監査の目的を明確にする

内部監査の目的は、品質規格の維持向上です。審査合格だけのためだけに内部監査を行うのではなく、あくまでも品質向上が目的であることを忘れないようにしましょう。

形式的に記録を確認して機械的にチェックしているだけでは、品質の向上はおろか更新審査の結果に影響する可能性も考えられます。監査員と従業員がなれ合いにならず、しっかりと目的をもって内部監査へ挑むことが求められるでしょう。

有効な指摘・改善を行う

認証の取得から運用を重ねるに伴い、内部監査の内容も企業のレベルに応じてシフトしていく必要があります。基本的には毎年レベルアップしているはずなので、より高次元の監査が必要となるでしょう。

内部監査については、毎年同じような内容では改善につながらず、あまり意味がありません。持続性・機能性が確保されているかチェックし、よりパフォーマンスが向上するような改善点や問題点を指摘するとよい監査となるでしょう。

ISO9001認証取得による企業の成功事例

ISO9001認証を取得しても、うまく運用できていなければ成功とはいえません。ここで、ISO9001認証取得による企業の成功事例をいくつか紹介しますので、参考にしてください。

株式会社シャトレーゼ

株式会社シャトレーゼは、2014年にISO 9001認証を取得しました。

会社名 株式会社シャトレーゼ
事業内容 洋菓子・和菓子・アイスクリーム・パン・飲料等の製造販売、ワインの販売、フランチャイズチェーンの全国展開、レストランの営業
ISO9001認証取得に取り組んだ経緯 顧客満足度を高めるため企業体質強化を目指し、CQM(シャトレーゼ品質マネジメントシステム)の構築・社内への浸透を目指す。
具体的な取り組み内容 ISO9001認証取得プロジェクトを発足し、全社一丸となってCQMへ取り組む。改善に貢献した内部監査員の表彰など、内部監査にも工夫を凝らし他取り組みを実行した。

CQMの浸透が全社的に図られたことで、クレーム件数がCQM開始前から30%減となったそうです。ISO9001認証取得への取り組みによって、社内教育の整備が進んだという成果も見られます。

株式会社山元

株式会社山元では2001年にISO9001認証を取得し、経営強化に欠かせない仕組みとして活用を続けています。

会社名 株式会社山元
事業内容 特定建設業(土木一式他14業種)、測量業、給水装置工事事業、宅地建物取引業、内航運送業、一般貨物自動車運送業ほか
ISO9001認証取得に取り組んだ経緯 公共事業の競争入札の総合評価ポイントの加点につながるという期待感から開始
具体的な取り組み内容 安全な現場管理、働きやすい職場環境の整備、現場マークシート方式の導入による業務管理、現場に入る社員、職員を含めた出退勤のカード管理など

ISO9001を基盤として構築し、高い評価を受けていたシステムやインフラが、ほとんど東日本大震災で消失したそうです。その経験を生かしてバックアップの拠点を設けてデータを管理、現在でも業務改善を続けています。

品質向上の仕組み作りはシステムの導入がおすすめ

ISO9001認証の要求項目は、解釈の難しい部分が多く見られます。しかし、基本は品質管理と顧客満足であるとシンプルに考えれば取り組みやすくなるでしょう。社員が一丸となって品質向上と顧客満足の達成を目標と捉え、問題点にいち早く気がつき改善していける体制を築くことが重要です。

「実績班長」では製造現場における品質向上を助けられるため、ISO9001認証取得に貢献できます。

品質情報をデジタルにして見える化できる

「実績班長」では、IoTを使って品質情報をその場でデジタル化して管理できます。

品質情報の見える化により不良品率とその理由がデータで把握でき、製品の品質改善といった品質マネジメントが可能となります

リアルタイムの品質情報を把握できる

リアルタイムでの品質情報がデータ化され、状況の把握が容易となるのもメリットです。

一連の製造の流れと品質情報がリアルタイムでつかめることから、ラインの状況改善で品質向上を目指せます。

あらゆる工程を一元管理できる

製造現場内での工程管理の一元化も、「実績班長」のシステムでは可能です。

一括管理により組織の状況分析が容易となり、課題の抽出へとつなげられます。

まとめ

「ISO」とは、国際標準化機構の通称であり、さまざまな分野の国際規格を定めています。ISO9001は品質マネジメントに関する国際規格であり、認証には要求事項を満たすことが求められます。

ISO9001認証を取得しても、うまく活用できなければメリットとはなりません。認証取得を目的とするのではなく、顧客満足や品質向上を目的とすることが重要です。メリットを生かせる活用方法を構築して、うまく運用できることを目指しましょう。

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