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COLUMN実績班長のコラム

2023.11.08

7つのムダ(トヨタ生産方式)の見つけ方・排除方法やシステム導入による排除事例を紹介!

「トヨタ生産方式」は、製造業における生産システムのひとつです。「自働化」「ジャスト・イン・タイム」を柱とした考え方で、ムダを徹底的に排除する考え方を基本としています。

本記事では、トヨタ生産方式における7つのムダについて解説しています。ムダの見つけ方と排除方法に加え、成功事例も紹介していますので、ムダの排除に悩まれている企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

トヨタ生産方式とは

トヨタ生産方式とは、トヨタ自動車が改善を積み重ねて確立した効率的な「つくり方」の思想です。よい商品をタイムリーに提供するために確立された考え方であり、徹底的にムダを排除することが基本となっています。

トヨタ生産方式は、次の2本柱から成り立っています。

  • ニンベンのついた自働化:異常発生時に作業を止め、不良品発生を未然に防ぐ
  • ジャスト・イン・タイム:必要なものを必要な時に必要な分だけ作る

この2本柱を基本としたトヨタ生産方式は、現在では世界各国の企業で採用されています。

トヨタ生産方式を実現する4つのメソッド

トヨタ生産方式を実現するためには、4つのメソッドの実行が求められます。

カイゼン 洗い出された課題を「人・モノ・設備」に注目して作業効率をよくする
問題の見える化 問題を隠さず見えるようにし、全員で解決へと導く
なぜなぜ分析 問題に対して「なぜ」を5回繰り返して原因を深掘りする
7つのムダ排除 作業で生じるムダを見つけて徹底的に排除する

本記事では、7つのムダの見つけ方や排除方法について、詳しく紹介していきます。

トヨタ生産方式の7つのムダの見つけ方・排除方法

作業者の動きには正味作業(付加価値を生む作業)・付帯作業(付加価値を生まないが必要な作業)・ムダの3種類があり、これらの中にあるムダを見つけて排除していきます。

そもそも、ムダと考えられるものには次にあげる3つの局面があります。

  • 顧客・生産者どちらから見てもムダなもの:不良品処理・トラブル対応・作業ミス など
  • 生産者にとっては必要だが顧客にとってはムダなもの:作業準備・日報作成・在庫確認 など
  • 生産者・顧客ともに必要となるもの:製品の組み立て・商品開発・アフターフォロー など

生産側から見て必要な作業の中にも顧客にとってはムダとなるものが含まれるため、ムダを見つける際は顧客側の視点に立つことも求められます。

なお、トヨタ生産方式でムダとされる要素は次の7つです。

【トヨタ生産方式の7つのムダ】
  1. 加工のムダ
  2. 在庫のムダ
  3. 造りすぎのムダ
  4. 手待ちのムダ
  5. 動作のムダ
  6. 運搬のムダ
  7. 不良・手直しのムダ

それぞれについて、順番に説明します。

1.加工のムダ

加工のムダは、加工時に必要ではない作業を行なうことで発生するものです。具体的には、次の事例が考えられます。

【加工のムダの具体例】
  • 製品の仕様が変更となっているのに、以前からある作業方法だけが残る
  • 見えない部分にまで研磨や表面処理などの加工を施す
  • 必要以上の検査を毎回行なう
  • 製品に対する過剰な書類作成 など

基本的に、必要以上の加工はすべてムダな作業と考えられます。

加工のムダの見つけ方

製品やサービスに対して、品質や機能に関与しない加工はムダだと考えます。加工のムダは、従来の方法を見直すことで見つけられるケースが多くあります。

長年同じやり方で作業していると、ムダな作業かどうか判断しにくい状況となりがちです。仕様変更となっている製品に対しては、従来の加工方法が適切なのか見直すことが重要です。また、過剰な加工を行なっていないかどうか、標準化されていない作業もチェック対象となるでしょう。

加工のムダの排除方法

作業のムダについては、従来の加工方法にムダがないか作業者と管理者で協議します。また、現状より手間を減らせる方法がないか検討することも重要です。

顧客視点で必要とされる品質が確保できていれば、品質に関わる作業以外は削除対象として見直します。「最新の作業標準に合わせた加工方法をとる」「作業者による品質のばらつきがないように研修する」といった方法も効果的です。

2.在庫のムダ

在庫のムダは、原材料・部品・仕掛品・完成品に至るまで、すべての在庫品に関わります。具体的には、次の事例が考えられます。

【在庫のムダの具体例】
  • 原材料を多めに手配している
  • 注文数以上の完成品をあらかじめ作っている
  • 部品の予備を多めに在庫している など

在庫のムダが発生すると、在庫金額が増えるだけではなく、異動や保管のコストも上乗せされます。また、在庫として保管している間に劣化が進み、商品価値がなくなり損失となる可能性も否めません。

在庫のムダの見つけ方

在庫のムダの判断基準としては「在庫している理由が説明できるかどうか」です。

「なんとなく予備として在庫している」「多めに作っておいた方が安心」といった、在庫の理由として明確に説明できないものは、すべてムダと判断しても差し支えないでしょう。

在庫のムダの排除方法

過剰な在庫には余分なコストがかかると認識して、在庫のムダ排除に取り組むのが重要です。在庫のムダは「予備を準備しておく」といった考え方をやめることで解決へつなげられます。

どれだけの完成品がいつまでに必要か算出し、必要な分を必要なだけ作る「ジャスト・イン・タイム」を徹底することで、全体の在庫管理が可能となるでしょう。在庫場所のキャパシティを超えた在庫はしない、小ロットのものは一貫生産を取り入れるなどの対策が求められます。

3.造りすぎのムダ

7つのムダの中で一番注意を払わなければならないのが、造りすぎのムダです。造りすぎのムダは、在庫・運搬・保管などすべてのムダへとつながります。

【造りすぎのムダの具体例】
  • 予定より早く工程が進んだため、先の予定分まで前もって造る
  • 予定している分より多く造っておき、予備として確保しておく など

造りすぎによって在庫が増えると、在庫管理のコストがかかります。また、造りすぎの状況では作業が止まらないため、手待ちや動作のムダを発見しにくくなります。あらかじめ造っておいたものが不要になったり仕様変更されたりした場合、すべて廃棄せざるを得ないケースも考えられるでしょう。

よかれと思って多く造っても、ムダを生む場面が増えると認識して対策しましょう。

造りすぎのムダの見つけ方

造りすぎのムダは、同じものを多く造ると効率がよいといった考え方から生まれます。しかし、実際は必要なものを必要なだけ造る方が効率よく、ムダも発生しません。

個人の感覚に頼って生産数をコントロールしている部分では、造りすぎにつながります。工程の中でそのような部門がないかチェックするのも、ムダの防止には効果的でしょう。

造りすぎのムダの排除方法

造りすぎのムダは、決められた生産数を守ることで排除可能です。

「受注を受けてから生産する」「販売計画以上の生産をしない」といった、基本的なルールを守るように徹底します。並行して、市場調査や生産管理の精度を上げることも求められるでしょう。

在庫状況の可視化や定期的な棚卸しも、造りすぎの排除に役立ちます。

4.手待ちのムダ

手待ちのムダとは、作業が止まることで発生するムダです。作業者にするべき作業がなく、何もすることがない状況を指します。

【手待ちのムダの具体例】
  • 前の工程で不具合があり、その後の工程で手待ちとなった
  • 原料が不足しており生産できない
  • 人によって作業スピードが違うため、早く作業できる作業員が手待ちになる など

手待ちのムダが発生すると、作業できない作業員の人件費がムダとなります。また、作業開始が遅れることで残業代が発生する可能性も考慮しなければなりません。

手待ちのムダの見つけ方

不測の事態で発生する手待ちは仕方ないとしても、恒常的に手待ちの発生する部門があるならば、工程に問題がある可能性は高いです。

標準化されていない工程の場合、個人のスキルによって作業時間の差が生まれ、その後の工程に影響します。工程ごとの時間計測や、1個を流して作成して流れがスムーズではない部分を洗い出すことでムダの発見が可能です。

手待ちのムダの排除方法

手持ちのムダ排除には、作業の標準化を進めるとよいでしょう。

流れの悪くなる工程がある場合、機械や設備によるものか作業者によるものか判断し、作業者起因でない場合はメンテナンスや設備の入れ替えといった対策を講じます。

作業員が原因となっている場合は、作業の標準化と合わせて配置転換や生産計画の見直しが求められます。

5.動作のムダ

動作のムダとは、製造の進捗に関与しないすべての動きを指します。動作のムダはタクトタイム(製品を製造するための標準時間)に大きく影響します。

【動作のムダの具体例】
  • 作業に必要な道具がすぐに見つからないため探す
  • 材料や工具を取るために移動する
  • 作業手順が現場では確認できず、事務所へマニュアルを読みに行く など

道具や原料を取りに行くための移動は、製品を製造するには不可欠な動作です。しかし、その動作が作業に対する付加価値や製品の完成に直接寄与しない場合は、ムダな動作となります。

動作のムダの見つけ方

ムダな動作を行なっているのは作業者ですが、ムダな動きを生む原因がすべて作業者にあるとは限りません。

標準作業と作業者が実際に行なっている作業に差がないか確認するため、工程ごとにムダな動作が発生していないか一連の動作をチェックします。また、作業内でムダと思われる動作がないか、作業者にヒアリングするのもよい方法です。

動作のムダの排除方法

まず「探す」「しゃがむ」「持ち替える」といった動作を排除するような工夫が求められます。

作業に必要な工具や材料、作業マニュアルなどすべて作業場の近くに配置し、できるだけ移動の発生しない配置が必要です。

また、現場の整理整頓がおろそかになると動作のムダが発生します。現場の状況を常にチェックし、乱れていれば指導するといった対応を取るようにしましょう。

6.運搬のムダ

運搬しなくてもよいものを運ばなくてはならない状況になると、運搬のムダが発生します。

【運搬のムダの具体例】
  • 作業工程内で積み替え作業が発生する
  • 原材料置き場・作業場・製品倉庫それぞれが物理的に遠い
  • 余剰在庫を倉庫へ入出庫する など

運搬のムダは、在庫が過剰となっている際に発生することが多く見られます。また、レイアウト上の問題でムダな運搬が発生するケースもあります。

運搬のムダの見つけ方

運搬のムダが発生しないためには、前後の工程で移動距離が長くならないことが大切です。工程内で移動距離の長い部分がないかチェックし、現場を確認してみましょう。

また、在庫や造りすぎのムダは運搬のムダに直結します。在庫や製品が過剰になっていないか、保管場所の位置と広さは適切かなど、現場のチェックで原因追及が可能となるでしょう。

運搬のムダの排除方法

工程内の移動距離が長い場合は、在庫場所の移動やラインの配置換えなど、レイアウトの見直しで運搬のムダが削減できます。

また、在庫場所が複数箇所に分かれている場合はひとつにまとめる、利用頻度の高いものを運搬しやすい場所へ在庫するなどの対策に加え、在庫過剰にならないオペレーションの確率も求められるでしょう。

7.不良手直しのムダ

不良品の発生による手直しも、ムダな作業のひとつです。不良品発生によるムダは、製造の現場だけではなく企業全体の損失に直結します。

【不良手直しのムダの具体例】
  • 不良品が顧客へ届けられている場合、回収・手直し・原因究明などの緊急作業が生じる
  • 製造時に不良品が出た場合、廃棄・手直し・原因究明などのコストがかかる
  • 原因究明に時間がかかる場合、製造ラインを止めて調べることも考えられる など

製造時に不良品が発生すると、歩留まり率の低下によるロスが発生します。また、廃棄・一時保管・検品などに費用を投じる必要も出てきます。顧客へ不良品が出回った場合、場合によっては全品回収となるケースも否定できません。

不良・手直しのムダの見つけ方

不良品が発生した場合、製造ラインのどこに問題があるか特定するのが最優先です。製品の不良品率を調査し、ラインのどこで不良が発生しているか調査します。

また、完成品の検査体制を強化することも大切です。原因を特定しないと改善できないため、十分なチェックが必要となるでしょう。

不良・手直しのムダの排除方法

不良品が発生する原因によって、取るべき対策はさまざまです。

原材料に問題がある場合は原材料の変更、ライン上の設備に問題が見つかった場合は修理や入れ替えが必須です。生産量を減らすことで改善が見込まれるのであれば、生産計画の見直しも必要となるでしょう。

合わせて、不良品を早期発見できる仕組み作りも重要です。完成品のチェックだけではなく、工程途中でも品質チェックできる仕組みがあれば、不良品の発生は抑えられます。

「実績班長」でムダを発見・排除した事例

「実績班長」の導入によって、製造工程におけるムダの改善に成功した事例を紹介します。

導入事例:在庫のムダを排除した事例

高越鋼業株式会社様では、「実績班長」の導入によって在庫のムダを削減しました。

業種 製造業
サービス内容 ネジ類(タッピングネジ・各種アッセンブリーネジ) 及び ネジ検査装置の製造
【導入前の課題】
  • 中間品在庫の削減・見える化
【導入後の効果】
  • 現場の在庫量を増やさず、在庫管理が可能となった
  • オーダーに紐付かない滞留在庫が減った

受注量の増加によって工場内の物流量が増え、中間品の在庫が管理できない状態で工場内に置かれている現状を改善するため、「実績班長」を導入しました。

「実績班長」導入後は在庫管理の精度が格段にあがり、納期の問い合わせにも瞬時に対応できる状況となったそうです。また、データの見える化が実現したことでムダな在庫が減り、全体の物流量が増えているにも関わらず滞留在庫が減ったそうです。必要な分を必要なだけ作る体制づくりに、「実績班長」が役立てられた事例といえるでしょう。

まとめ

トヨタ生産方式では、ムダの排除が基本的な考え方となっています。ムダの項目を7つに分解して、それぞれを削除する努力が求められます。

7つのムダを徹底的に排除するには、原因の特定と排除方法の仕組み作りが大切です。現場のシステム化を進めることで、ムダの特定や排除がたやすくなります。ムダの特定に悩まれている担当者の方は、システム導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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